透析患者の課題とこれから
本邦の維持透析患者数は増加の一途をたどり約34万人に上っています。透析導入年齢は、最も割合が高い年齢層が、男性で70-74歳(全体の17.4%)、女性は80-84歳(全体の16.7%)と患者の高齢化が著しく進展していることも、本邦の透析患者の特徴となっています1)。
透析医療の進歩に伴い、高齢者であっても透析を開始、継続し生命をつなぐことができるようになっています。一方で、治療体系として確立した透析医療にも、依然として予後や患者QOLは十分に改善していないといった課題があります。高齢化に伴うQOL低下への対応は急務であり、サルコペニア・フレイルに対する予防、治療がターゲットとなっています2)。
高齢化社会において「単に長く生きること」よりも、「人生をどう生きるか」を重要視する症例に接する機会も多いのではないでしょうか。このような課題を抱える背景の中で、世界では「PRO(Patient Reported Outcome:患者によって報告される治療効果)」という概念が急速に注目を集めるようになりました。
このコーナーでは、透析患者さんが抱える課題と対策について、エキスパートの視点からお話しいただきます。
1)一般社団法人日本透析医学会 統計調査委員会 「わが国の慢性透析療法の現況より(2020年12月31日現在)」
2)Inaba M, Okuno S, Ohno Y : Importance of Considering Malnutrition and Sarcopenia in Order to Improve the QOL of Elderly Hemodialysis Patients in Japan in the Era of 100-Year Life. Nutrients 2021; 13 (7) : 2377.
変わる! 腹膜透析のあたりまえ
日本では透析患者の超高齢化が進んでおり、透析医療においては身体的負担が比較的少なく、かつ終末期の緩和治療手段となりうる腹膜透析の重要性が高まっています。
腹膜透析について、さまざまな取り組みを進める医師の声をもとに、在宅医療である腹膜透析を推進する取り組みや参考となる情報を提供していきます。