並里 大 先生
日本医科大学付属病院 麻酔科・ペインクリニック 病院講師・医局長
インタビュー実施日:2023年10月26日
(オンラインにて)
高齢者が要支援・要介護となった原因の上位3位は認知症16.6%、脳血管疾患(脳卒中)16.1%、骨折・転倒13.9%であり1)、骨折・転倒のなかでも、特に大腿骨頚部・転子部骨折となった場合が「寝たきり」の大きなリスクとなっているのは、医療従事者の共通認識であろう。大腿骨頚部・転子部骨折は日常的な偶発事故に伴う発生が多く、それまで元気にしていた方でも退院後、寝たきり・フレイルの進行・認知機能低下などにより、生活や就労、看護・介護の状況が一変してしまうことも少なくない。また、転倒・骨折をきたす高齢者では、併存疾患・合併症が存在すると考えるべきであり、骨折修復術や周術期管理、リハビリ計画や退院後の対策も、入院時の評価抜きには完遂できない。今回は、院内で作成・配布される医療安全管理ハンドブックをもとに、多職種連携をもって、大腿骨頚部・転子部骨折の術前評価の標準化に取り組まれている並里大先生にご解説いただいた。