血液透析の目的、ダイアライザーについて
血液透析は、腕の血管に針を刺し、ポンプを用いて血液を体外に取り出し、人工腎臓といわれるダイアライザー(透析器)に通すことによって、血液を浄化する方法です。体内にたまった尿毒素の除去や血液中のNa(ナトリウム)・K(カリウム)・Ca(カルシウム)といった電解質のバランスの調節をします。きれいになった血液は、再び体内に戻されます。また基本的に週3回施行され、治療間にたまった余計な水分を除去します。ダイアライザーの種類には、中空糸(ホローファイバー)型、積層型があります。中空糸型は約1万本位のストロー状の管が筒の中に固定されており、この筒の内側を血液が、外側に透析液が流れる構造になっており、市場のほとんどのダイアライザーがこの構造です。積層型は数層の平らな固定版の間に透析膜をはさみ、透析膜の間を血液が流れ、透析膜と固定板の間を透析液が流れる構造になっており、バクスターのH12ヘモダイアライザーはこの積層型に属します。中空糸型、積層型ともにこの膜を介して、拡散や濾過の原理により物質移動が行われます。
市場にあるダイアライザーと膜素材について
現在、膜面積のそれぞれの品番を数えると約300種類を超えるダイアライザーが販売されています(2023年2月現在)。また膜材質は7種類あり、それぞれの特性(除去能力、生体適合性)により機能区分で分類されています。特定積層型以外のダイアライザーはβ2-マイクログロブリン除去能力や特殊性から、日本透析医学会の「血液浄化器(中空糸型)の機能分類2013」に基づき、I型、II型、S型に分かれています。また臨床でのアルブミン漏出量を予測できるように、I、II型はそれぞれa型(蛋白非透過/低透過型)とb型(蛋白透過型)に分類されています。S型に関しては生体適合性、吸着特性有するなど、従来の溶質除去能力以外の特殊性を学会が認めた分類です。
膜素材に関しては合成高分子系とセルロース系に分けられ、前者に当てはまるのがポリスルホン系のPS膜(ポリスルホン),PES膜(ポリエーテルスルホン)、PEPA膜(ポリエステル系ポリマーアロイ)やEVAL膜(エチレンビニルアルコール共重合体),PMMA膜(ポリメチルメタクリレート)、AN69膜(アクリルニトリル・メタリルスルホン酸ナトリウム共重合体)で、後者に当てはまるのがCTA膜(セルローストリアセテート)です。また除去特性から、β2-マイクログロブリンの除去特性が優れ、アルブミン漏出が少ない膜をシャープな分画特性を有する膜、小分子から大分子まで幅広く除去できる膜をブロードな分画特性を有する膜と表現することもあります。PS膜、PES膜、PEPA膜、CTA膜はシャープで、EVAL膜、PMMA膜、AN69膜はブロードと一般的に言われています。